使用SDK: Meta Wearables Device Access Toolkit (DAT) 0.7.0
Meta Ray-Ban / Oakley Meta のスマートグラス向けに、Meta公式の Wearables Device Access Toolkit (DAT) を使って Android アプリを作り、実機で試した記録です。今回はディスプレイ非搭載モデルを前提に、グラスを POVカメラ として使う「Camera Access」パスに絞っています。
DAT は2025年12月4日に Developer Preview として一般公開された、AIグラス向けのクロスプラットフォームSDKです[1][8]。まだ 1.0 前のプレビュー段階で、一般ユーザー向けの公開(publishing)は未開放です[6]。
試した構成
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| グラス | RayBan Meta Scriber Optics (Gen 2)(ディスプレイなし) |
| スマホ | Pixel 7a(Android、USB接続) |
| SDK | mwdat-core / mwdat-camera / mwdat-mockdevice 0.7.0 |
| 題材 | 公式サンプル samples/CameraAccess[7] をそのまま実機ビルド |
| ツールチェーン | AGP 8.6 / Gradle 8.14.1 / Kotlin 2.1.20 / compileSdk 35 / minSdk 31 |
スマホ側に UI とロジックを全部持たせ、グラスは「視点カメラ」として映像と写真を送ってくる、という役割分担になります。
どんなことを試したか(スクショ付き)
1. 公式サンプルをビルドして実機へインストール
facebook/meta-wearables-dat-android の CameraAccess サンプル[7]を取り込み、assembleDebug → adb install でPixel 7aに入れて起動しました。
ハマりどころは2つだけでした。
- JDK 17+ が必須(AGP 8.6 の要件)。PATH上の
javaが古いと失敗する。 - GitHub Packages トークンが必要。
com.meta.wearable:mwdat-*は GitHub Packages から解決されるため、read:packagesスコープの classic PAT をlocal.propertiesに置く。
2. アプリ起動 — ストリーム開始前の画面
起動するとこの画面。グラスを接続(登録)してから「Start streaming」でストリームを開始します。実機グラスを使うには Meta AI アプリの Developer Mode を ON にする必要があります(Settings → App info → バージョン番号を5回タップ)。登録自体は Meta AI アプリ側に委譲され、アプリは登録状態を StateFlow で監視します。

3. グラス視点のカメラ映像をストリーミング
「Start streaming」でグラスのカメラ映像がスマホに流れてきます。中身は生の I420 フレームで、アプリ側で ARGB の Bitmap に変換して表示しています。

4. 写真撮影&共有
ストリーミング中に静止画キャプチャ(capturePhoto())が可能。撮った写真はそのまま共有シートに渡せます。

補足:実機がなくても試せる Mock Device Kit
DAT には Mock Device Kit が付属し、実機グラスなしで「ペアリング → 電源/装着/展開 → カメラフィード設定 → ストリーム → 撮影」の一連をシミュレートできます[5]。下は疑似 Ray-Ban Meta を1台ペアリングし、Power / Donned / Unfolded を ON にした状態です。

SDK 0.7.0 で「今」できること
ディスプレイ非搭載グラス+Camera Access パスで実際に触れる範囲は次のとおりです(公開APIを実際に展開して確認)。
できること
| カテゴリ | 内容 |
|---|---|
| グラス接続・登録 | Meta AI アプリ経由で登録・接続、状態を StateFlow で監視 |
| カメラ映像ストリーミング | グラス視点の動画フレーム(I420)を受信。0.6.0 で HEVC 圧縮ストリームに対応[3] |
| 写真撮影 | Stream.capturePhoto()(Bitmap / HEIC) |
| 写真共有 | FileProvider 経由で共有シートへ |
| 状態管理 | 接続・登録・セッション・ストリーム状態、エラー、発熱(0.7.0 で ThermalLevel 追加[3]) |
| 音声入出力(BT経由) | グラスは標準 Bluetooth オーディオ機器としても動作。スピーカー出力は A2DP、マイク入力は HFP(双方向)。Android は AudioManager.setCommunicationDevice() で経路指定[4] |
| Mock Device | 実機なしで接続・ストリーム・撮影を検証[5] |
今はできないこと
| 項目 | 理由 |
|---|---|
| グラス内表示(テキスト/画像) | ディスプレイ非搭載モデルでは対象外(描画APIは 0.7.0 で Ray-Ban Display 機向けに追加[3]) |
| 物理ボタン/タッチのカスタム割り当て | 公式に「タップ/スワイプ等の独自ジェスチャーは提供しない」と明記。できるのは pause / resume / stop の標準イベントの観測のみ[5] |
| 物理シャッターで撮った写真の横取り | グラス本体のギャラリーに保存され、アプリには渡らない |
| DATのデータストリームに音声を含める | StreamConfiguration に音声項目なし(音声は前述の BT 経路を使う)[4] |
| Meta AI 音声コマンドの拡張 | DAT は Meta AI 自体を拡張するSDKではない[1] |
物理ボタンについて補足:グラスのテンプル(つる)のタッチ操作は、ストリーム中は「タップ=一時停止/再開、長押し=停止」に固定されています。アプリ側はその結果(pause/resume/stop)を状態として読めるだけで、ボタンを自分の機能(例:撮影トリガー)に上書きすることはできません[5]。撮影は必ずアプリ起点の
capturePhoto()になります。
今後できそうなこと
DAT は 月次ペースで更新されており(Android は 2025/10/30 の 0.1.0 が初版)[3]、プレビュー段階ゆえ機能はこれから広がっていく見込みです。公式が言及している主なものは次のとおり。
| 予定 | 状況 | 出典 |
|---|---|---|
| 音声起動(voice invocation) | 「開発中」と明言 | [2] |
| WiFi Direct | 「開発中」と明言。実現すれば現行の BT 経路より高帯域・低遅延のストリームが期待できる | [2] |
| 一般公開(publishing)の解放 | 現在はプレビューで不可、2026年中の一般提供を目標 | [6][8] |
| マイクアレイの raw access | 高度な音声処理向けに提案/検討中 | [8] |
| ディスプレイ対応の拡張 | 0.7.0 で Display 機向け描画(Text/Button/Image/MP4)に着手済み、今後拡充 | [3] |
逆に、ボタン/ジェスチャーのカスタム開放はロードマップ上に明記されていません(「custom gestures は提供しない」というスタンス[5])。SDK内部には GestureType.DOUBLE_TAP などの配管が存在するため将来公開の余地はありますが、現時点で約束された予定ではありません。
まとめ
- ディスプレイ非搭載グラス+ DAT 0.7.0 で実際にできるのは、映像ストリーム+写真+(BT経由の)音声入出力まで。
- 「物理ボタンを自分の機能に割り当てる」は、公式方針としても今後の明示予定としても無し。設計はアプリ起点の
capturePhoto()が前提。 - まだプレビューだが更新は速く、WiFi Direct / voice invocation / 2026年の一般公開あたりが次の大きな一手になりそう。
- 今の構成でも、グラスを POV カメラとして「撮影 → クラウド/チャットへ自動アップロード」「現場記録・点検」「視覚支援」「QR/書類読み取り」といったアプリは十分作れる。
出典
- [1] Introducing the Meta Wearables Device Access Toolkit — Meta for Developers https://developers.meta.com/blog/introducing-meta-wearables-device-access-toolkit/
- [2] Build Apps that See, Hear, and Respond: Explore What’s Possible With Wearables Device Access Toolkit — Meta for Developers https://developers.meta.com/blog/explore-whats-possible-with-wearables-device-access-toolkit/
- [3] CHANGELOG — facebook/meta-wearables-dat-android https://github.com/facebook/meta-wearables-dat-android/blob/main/CHANGELOG.md
- [4] Use device microphones and speakers — Meta Wearables Developer Center https://wearables.developer.meta.com/docs/develop/dat/microphones-and-speakers/
- [5] Mock Device Kit — Meta Wearables Developer Center https://wearables.developer.meta.com/docs/develop/dat/mock-device-kit/
- [6] Frequently Asked Questions — Meta for Developers https://developers.meta.com/wearables/faq/
- [7] meta-wearables-dat-android(CameraAccess サンプル) — GitHub https://github.com/facebook/meta-wearables-dat-android
- [8] Meta Launches Developer Preview for Wearables Toolkit — Auganix https://www.auganix.org/ar-news-meta-wearable-device-sdk/
この記事は、サンプルアプリのビルド・実機検証・スクリーンショット取得から原稿の執筆・WordPress への下書き投稿まで、Claude Code を使って作成しました。
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